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あと払いは「お買い物のネクストスタンダード」 日本のBNPL市場を創造した「ペイディ」の10年を橋本副社長に聞いた

 株式会社Paidyが提供するスマートフォンによるあと払い(BNPL=Buy Now Pay Later)サービス「ペイディ」は10周年を迎え、アプリのダウンロード数は1500万を超えた。若年層を中心に、最近では幅広い層にも浸透しているペイディ。従来の後払いサービスとは一線を画し、ユーザーが意志を持ってお買い物できる環境づくりをリードしてきた。誕生から10年で、どのようにしてお買い物のネクストスタンダードであるBNPL市場を築き上げたのか。Paidyが目指す「次の10年」とは。Paidyの橋本知周 副社長執行役員に聞いた。

Paidyの橋本知周 副社長執行役員

Paidyのミッションは「お買いものに『めんどくさい』はいらない。」

 ペイディはいわゆる「あと払い決済(BNPL=Buy Now Pay Later)」サービスの一つだが、従来の「請求書払い」をベースとした国内他社の後払いサービスとは異なる。すべてデジタルで完結し、スマートフォンユーザーなら誰でも戸惑わずにスムーズな手続きで支払いが完了するサービスだ。

 同社が掲げるミッションは「お買いものに『めんどくさい』はいらない。」。お買い物は夢や目標を叶える投資である一方、あらゆる面倒がつきまとう。例えば、クレジットカード決済ではカード番号の入力が必要になったり、支払日や支払い方法、支払い回数も指定されたりするケースが多い。ユーザー本位のお買い物体験を実現しているとはいえないだろう。

 Paidyはこの10年、こうしたお買い物におけるあらゆる面倒くささを解消し、お金との向き合い方を変えてきた。スマホだけで使える利便性や、ユニバーサルデザインを追求したアプリのUX、分割手数料無料(※)の最大36回の分割払いなどは、こうした企業姿勢を表している。

 こうしてペイディのサービスは「あなたに自由なあと払い」として、お金との向き合い方を変えてきた。
 
ペイディの誕生から10年で、お買い物の楽しみ方が広がった

なぜ加盟店の売上拡大や顧客生涯価値を最大化できるのか

 加盟店であるEC事業者にとっても、ペイディは単なる決済サービスの域を超え、売上拡大や顧客生涯価値を最大化するソリューションとして受け止められている。カゴ(カート)落ちの減少や、新規顧客およびリピート客の獲得、単価アップといった様々な支援を提供しているからだ。

 ペイディは、「ファッション」「コスメ」「旅行」「家電」「デジタルコンテンツ」などの幅広い業界で導入が進んでいる。

 例えば、これまで一括払いが主流だった旅行分野では、ペイディの画期的なサービスである「分割手数料無料(※)の分割払い」を提供することで、「お財布の心配なく特別な機会を楽しみたい」というユーザーの気持ちを後押しして加盟店側の売り上げアップに貢献。ユーザーと加盟店の双方に、新しい旅行の楽しみ方やビジネスを提案しているのだ。

 デジタルコンテンツや推し活の分野では、スマホだけで利用できる優れたUXにより、クレジットカードなどの、これまでの決済サービスでは難しかった「即時性」を実現。「楽しい瞬間を逃したくない」というユーザーのニーズを捉え、デジタルコンテンツの楽しみ方に変化をもたらした。

 上記のようにこの10年でペイディは革新的なサービスの提供を通じて、様々なEC事業を変革してきた。

※手数料無料は口座振替・銀行振込のみ

 橋本知周 副社長執行役員にインタビュー形式で聞いた。

新しいお金との向き合い方を提案

――この10年間、BNPLの認知度が大幅に上がりました。業界をリードするBNPLであるペイディが広がった理由をお聞かせください。

橋本知周 副社長執行役員(以下、敬称略) 世間で「後払い」といわれるサービスには、郵送によるハガキ(払込票)を受け取って、コンビニに行って支払うものから、メールアドレスと電話番号を登録するけど支払いは紙(請求書)といったものもあります。

 一方、ペイディはスマホだけで買い物ができ、手数料無料(※)な上、分割払いもできます。支払いに関してもスマホにSMSで通知が届き、すべてデジタルで完結します。

 ペイディは、これまでの後払いサービスを含めた決済サービスとは異なり、「あなたに自由なあと払い」としてお客様の意志のあるお買い物の実現をサポートしてきました。昨今、スマホで自分らしくスマートにお金を使って管理するというお金の価値観「マネパ(マネーパフォーマンス)」が広がっていますが、こうしたペイディのサービスが世の中のトレンドに合っており、より多くの方にご利用いただけていると感じています。
 
「購入とは、今は”体験”です。ペイディは、先に体験して、
その後に手数料の負担なく分割で支払っていく、新しい購入体験を提供しています」と語る

「カゴ落ち」せずに購入までつながる仕組みとは

――加盟店に対するペイディのメリットとして打ち出している「単価アップ」と「カゴ落ちを防ぐ仕組み」について教えてください。

橋本 単価アップについては、例えば旅館や飛行機の予約では、同じ部屋やフライトでもチェックイン・チェックアウトの時刻やオプションにより単価が大きく変わります。あと払いのペイディなら分割払いを利用すれば、手持ちの予算を減らさずに済むので、朝食などのオプションをつけたりでき、おのずと単価は上がっていきます。分割手数料無料(※)の分割払いの選択肢があること自体が、単価アップのカギなのです。

 「カゴ落ちを防ぐ仕組み」については、まず「カゴ落ち」の概念はいくつかあります。カゴに入れた後に購入までいかないことも課題ですが、カゴ落ちの原因の約7割は、商品自体は欲しいけど「自分に合う支払い方法がなかったから」といわれています。例えば、初めて使うサイトでは、クレジットカードを使いたくないといったケースもあるでしょう。

 ペイディを導入すれば、こうした方々にも購入を促せます。そもそもペイディではカゴに入れてもらうための工夫もしていて、例えば6万円の商品について「毎月1万円・6回の分割払いで払えます」と表示するウィジェットを用意しています。月々の支払い金額を提示することで、カゴ落ちせずにスムーズな購入につながるのです。

 もっとも、「カゴ落ち」以前に「カゴに入れる」アクションをしていただくことが、今まで決済会社がやってこなかったことで、ペイディがEC事業者の売上拡大に貢献してきた根拠でもあります。この点は、すごくこだわってサービスを提供させていただいています。

 ウィジェットの掲載の有無は加盟店が選択でき、多くの加盟店が選択しています。そもそも単価アップの大きな要素は分割払いがあること。「分割払いで買える」ということを伝えるためのツールとして、ウィジェットを活用していただければと思います。

――ペイディは代引きに代わるサービスとしてもよく利用されるそうですが、詳しく教えてください。

橋本 確かに代引きは、購入時はクリックだけで終わりますが、問題は商品を受け取るときの支払いです。小銭などお金を用意しておかなければいけませんし、指定時間まで家で待ってないといけません。天候などのアクシデントで配達が遅れたら、次のイベントをキャンセルすることもあるでしょう。

 加盟店サイドでは、商品を受け取ってもらえなかったり、キャンセルになったりしたときが大変です。往復の配送料は加盟店のコスト負担になるからです。さらに加盟店だけでなく、人手不足が社会問題になっている配送業者にとっても、再配達などのロスが生じます。環境にもよくありません。

 あと払いサービスのペイディなら、支払い時にクレジットカードのような面倒がなく、受け取る際も代引きのようなロスがありません。宅配ボックスや置き配が浸透している今なら、なおさら決済が完了しているペイディの利便性を実感していただけるでしょう。

デジタルコンテンツの「まとめ買い」ニーズに応える

――「推し活」や「デジタルコンテンツ」との相性もいいですね。

橋本 はい。「推し活」のグッズ販売では、限定品のアイテムの発売タイミングに合わせて、いきなり売り上げが上がった加盟店の事例は多くあります。また、近年は推し活のライブ配信における利用シーンも増えていて、今すぐ何かアクションしたいというときに、ペイディではクレジットカードのような事前登録が不要なため、スムーズにお買い物ができる点で高く評価されています。

 デジタルコンテンツでも非常に多くの方々にご利用いただいています。例えば、2巻無料の電子コミックを読んで、続きの3巻目を買うときはお金(課金)が必要です。ペイディならスマホがあれば決済できるので離脱せず、その流れのまま購読できます。

 クレジットカードを登録してから購入する、クレジットカードがなければコンビニに行ってプリペイドカードを買ってチャージするといった手間が不要なのが、ペイディの大きな特徴です。また、デジタルコンテンツのまとめ買いのタイミングで、手数料無料の分割払い(※)が使われることも多く、我々のサービスはこうしたまとめ買いのニーズにも応えています。
 
Paidyでは安心・安全な決済環境の構築にかなり注力している

――経済産業省は「2025年までにキャッシュレス決済比率40%(支払額ベース)」を目標に掲げ、23年時点で39.3%を達成しました。目標はほぼ達成可能な水準ですが、キャッシュレス決済の普及についてどう思われますか。

橋本 日本のキャッシュレス決済比率は予想外に伸びたと感じています。正直、早いなと思いました。支払い方法は現金だけではなく、カード、ペイディのようなあと払い、さらにスマホ決済もあり、その人によって支払い方法の選択肢が増えました。しかし現金に対する信頼感はまだまだ高いと感じます。

 現金が強かった今までは、毎月入る給料の中からいくら使って、いくら貯金してというかたちで管理していたと思います。ただ、キャッシュレス決済が普及して、物を買ってお金を支払うタイミングは変わってきたし、今後も変わり続け、もっと多岐にわたっていくと考えています。

 例えば、ペイディでよく購入される商品のひとつがApple製品です。「ペイディあと払いプランApple専用」という特別なプランを提供しており、Apple StoreやAppleのウェブサイトで、分割手数料0%の最大36回の分割払いをご利用いただけます。シンプルでスムーズなところがペイディの特徴であり強みです。

 昔のイメージだと、手数料のかかる分割払いやリボ払いは良くないものと思われていました。そこでペイディは手数料を無料にしました。これなら分割払いを手数料の負担なく利用できます。ペイディの価値は、スムーズに決済できるところにあります。分割払いにより、手に入れたいタイミングでほしいものを手に入れるという体験価値を訴求していきたいです。

「安心・安全なお買い物の追求」は普遍の価値観

――改めて今後の10年について、展望を含めてお教えください。

橋本 この10年で、お客様のお金の使い方やリテラシーがとても上がったと思います。これから先の10年はさらに上がっていくでしょう。

 以前は現金でお金を管理することが主流だったところ、現在は支払い方法が多岐にわたっており、その使い方も人によって異なります。そうした中、世の中の流れに沿った形で利便性のあるサービスを展開していく必要があると思っています。デジタルウォレットはお金を使った感覚がないという批判もあるので、安心で安全という基本はずっと守っていきたいです。
 
サービス提供開始から10年を迎えたペイディ

 ペイディの価値は「あなたに自由なあと払い」として自分らしくお買い物を楽しめるところです。お買い物のネクストスタンダードとして、あらゆるお客様が自身のライフスタイルに合わせて安心してお買い物ができる世界をつくっていく、この先10年、むしろつくっていかなければならないという使命感を持っています。

※手数料無料は口座振替・銀行振込のみ

写真/長谷川 博一
取材場所:ミッドタウン・タワー Paidyオフィス
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